Quantcast
Channel: 歌舞伎よりどりみどり
Browsing all 30 articles
Browse latest View live

Image may be NSFW.
Clik here to view.

十三代目片岡仁左衛門

 当代屈指の名優、十五代目仁左衛門の父である。この十三代目のドキュメンタリー映画が大阪で上映された。全六巻、十一時間近い大作で、朝の九時半から夜の十時まで。羽田澄子監督の畢生の記録映画だった。...

View Article



Image may be NSFW.
Clik here to view.

ずぼんぼ

 聞き慣れない言葉である。なに、これ? と首を傾げる方も少なくないのでは。何を隠そう、(そんなに大上段に構えなくてもいいんですが)江戸の郷土玩具の名前である。  まず、半紙に好みの顔を描き、四隅に一寸幅の長い紙の足をつける。さらにその先にシジミの貝殻を貼り付けて出来上がり。円く輪になった人々が、   ずぼんぼや ずぼんぼや   ずぼんぼ腹立ちゃ つら憎や   池のどん亀 なりゃこそ   ささの相手に...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

一人語り

 どして海老さまはこんなにいい男なんでしょ。よだれが出るくらい。貴女、そうお思いになりません? 可笑しいでしょ。こうみえても、わたくし八十二になります。お若い、矍鑠(かくしゃく)としている? ご冗談ばっかり。もう、立派なお婆さんですよ。はあ、この派手なピンクのスーツは皺隠し。暗い色を着ると影が目立ちますでしょ。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

金銭をいうにはあらず

 鼠、蛸、猪、犬、蝦蟇、馬等々。この動物たちは、大部屋の役者さん達の持ち役である。人間が装束を着て演じるのは、歌舞伎独得のおおどかな様式美といえる。なかでも馬の足。この人達がいなければ舞台は全く成り立たない。意気でイナセで、そうして己を消すことに命をかける大部屋さんこそ真の名優といっていいのではないか。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

忠臣蔵異聞

 元NHK交響楽団の常任指揮者だった、ホルスト・シュタイン氏が亡くなった。大村益次郎を思わせるような鉢の張った頭が印象的だが、その繊細な音の響きは忘れ難いものがある。カラヤンやバーンスタインは、見た目の華やかさで管弦楽を魅了したが、彼は違う。むしろ観客席からは見えない、裏のオーケストラピットでその実力のほどを示した。...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

うどんか蕎麦か

「昼飯なんにします? たぐりましょうか」  東京の友人にそう言われて、小首をかしげたことがある。手繰るとは何ぞや。 「あれっ、関西では言いませんか」  蕎麦を食べることだとは、知らなかった。聞けば寄席仲間の隠語だという。そういえば、上方落語の「時うどん」の焼き直しが「時そば」だから、関東は蕎麦一筋なのだろう。...

View Article

歌舞伎の舞と踊

 歌舞伎舞踊には定型がある。  一、置(オキ)前奏部分。人は登場しない  二、出端(デハ、またはデ)舞台や花道から人物が出てくる。  三、口説き(クドキ)。愛情告白で、一曲の主眼となるところ。  四、語り。踊り手が過去を再現して踊る。  五、踊り地。鳴り物に太鼓などが加わり、総踊りや立廻りになる。  六、チラシ。段切の部分。幕切れの絵面へ向かって、早間で華やかに盛り上げる。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

恋文は天紅の手紙で

 一日、左京区黒谷の金戒(こんかい)光明寺で、長唄舞踊の「雨の五郎」を見物した。上方の歌舞伎役者、片岡愛之助の立方である。  「雨の降る夜も雪の日も」から「とかく霞むが春の癖」の優しさに加えて、二上がりの「藪の鶯」の軽やかな手踊りが眼目である。...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

まァず、本日はこれぎり

 ポール・ニューマンの訃報を聞いて、「明日に向って撃て」を見た。この映画はベトナム戦争で方向を見失ったアメリカを象徴し、混沌の中で息を吹き返したニューシネマの草分けといわれている。...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

芝居ぎらい

 へえ歌舞伎(しばや)がお好きですって? そりゃまァ、なんと物好きなことで。いえ、正直な話、あんなもなァ早晩なくなるにきまってます。だってそうでござんしょ。当世の娯楽は黙ってたって夢中になるものばかしで、こんなかったるい芝居を我慢して見るこたァない、とあたしゃ思うんですよ。ほう、行く前に色々とお勉強なさる?...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

三角の雪 四角の雪

 「下京や雪つむ上のよるの雨」  蕪村の傑作「夜色楼台図」を見るたびに、凡兆のこの句が浮かんでくる。これは、最初に上五文字がなくて下句だけ出来ていた。芭蕉の弟子達が集まり、色々置いてみるが決まらない。そこへ芭蕉が顔を出し、言下に「下京や」と答えたという。更に、これ以外にいいものがあったら私は俳句を止める、とまで言い切ったのである。凄い自信ですね。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

フレー フレー

 オリンピックで番外種目だった綱引きを復活させよう、という運動があるらしい。なんでも八人ずつで引き合う国際ルールを浸透させて、2012年のロンドン五輪への参加を目論んでいるとか。このスポーツ、今では運動会の定番競技になっているが、もともと豊作や豊漁を願う年占の行事だった。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

偽りを誠にかえすために

 もし、愛する男が大義のために己を利用していたと分かったら、女はどうするだろう。偽りの懸想に、心は深く傷つくに違いない。あの甘いささやきは嘘だったのか。男を恨み続ける日々。けれど、万に一つ、そうではないかもしれない。男の本心が知りたい、いや確かめなければ。女主人公のおみのは、それを問い質すために、死を賭して細川屋敷に乗り込んでいく。...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

算数はお好きですか?

 一年に一度は、東京のブリヂストン美術館へ出かける。小出楢重の六十号の大作「帽子を冠れる肖像」に逢うためである。谷崎潤一郎の「蓼喰ふ虫」の挿絵は強烈だった。この大阪生まれの洋画家の名前は忘れ難い。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

大きいことはいいことか

 正直、「信濃路紅葉鬼揃」がこんなに面白いとは思わなかった。歌舞伎座での初演時に退屈で退屈で何度も居眠りしてしまったからである。能がかりを強調した玉三郎の努力は認めるが、松羽目舞踊だからといって「侘」「寂」「幽玄」という原点に戻ればいいというものではない。さすがに彼の炯眼も空回りしているようにみえた。...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

十三代目片岡仁左衛門

 当代屈指の名優、十五代目仁左衛門の父である。この十三代目のドキュメンタリー映画が大阪で上映された。全六巻、十一時間近い大作で、朝の九時半から夜の十時まで。羽田澄子監督の畢生の記録映画だった。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

ずぼんぼ

 聞き慣れない言葉である。なに、これ? と首を傾げる方も少なくないのでは。何を隠そう、(そんなに大上段に構えなくてもいいんですが)江戸の郷土玩具の名前である。  まず、半紙に好みの顔を描き、四隅に一寸幅の長い紙の足をつける。さらにその先にシジミの貝殻を貼り付けて出来上がり。円く輪になった人々が、   ずぼんぼや ずぼんぼや   ずぼんぼ腹立ちゃ つら憎や   池のどん亀 なりゃこそ   ささの相手に...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

一人語り

 どして海老さまはこんなにいい男なんでしょ。よだれが出るくらい。貴女、そうお思いになりません? 可笑しいでしょ。こうみえても、わたくし八十二になります。お若い、矍鑠(かくしゃく)としている? ご冗談ばっかり。もう、立派なお婆さんですよ。はあ、この派手なピンクのスーツは皺隠し。暗い色を着ると影が目立ちますでしょ。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

金銭をいうにはあらず

 鼠、蛸、猪、犬、蝦蟇、馬等々。この動物たちは、大部屋の役者さん達の持ち役である。人間が装束を着て演じるのは、歌舞伎独得のおおどかな様式美といえる。なかでも馬の足。この人達がいなければ舞台は全く成り立たない。意気でイナセで、そうして己を消すことに命をかける大部屋さんこそ真の名優といっていいのではないか。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

忠臣蔵異聞

 元NHK交響楽団の常任指揮者だった、ホルスト・シュタイン氏が亡くなった。大村益次郎を思わせるような鉢の張った頭が印象的だが、その繊細な音の響きは忘れ難いものがある。カラヤンやバーンスタインは、見た目の華やかさで管弦楽を魅了したが、彼は違う。むしろ観客席からは見えない、裏のオーケストラピットでその実力のほどを示した。...

View Article
Browsing all 30 articles
Browse latest View live




Latest Images